パスフレーズ(25番目の単語)の解説
BIP39パスフレーズ(25番目の単語)は、シードフレーズに秘密を追加して隠しウォレットを作ります。仕組み、使うべき場面、バックアップ方法を解説します。
BIP39パスフレーズ(しばしば「25番目の単語」と呼ばれます)は、12語または24語の復元フレーズに追加する任意の秘密です。ウォレットはこの2つを組み合わせて鍵を生成するため、同じ復元フレーズでもパスフレーズが違えばまったく別のウォレットが開きます。復元フレーズだけを見つけた人は、パスフレーズで保護された資金にはたどり着けません。
これは、盗まれたり見つかったりしたバックアップに対する強力な防御になります。一方で、すべてを失う新たな道も生まれます。パスフレーズを忘れたら、リセットする方法はありません。このガイドでは、パスフレーズの仕組み、使うべき場面、バックアップの方法を解説します。
BIP39パスフレーズの仕組み
BIP39は、ランダムなデータをおなじみの復元用単語リストに変換する、広く使われている規格です。任意のパスフレーズについても定めています。
ウォレットを復元するとき、ソフトウェアは復元用の単語とパスフレーズを鍵導出関数に通して「シード」を生成します。これは、すべてのアドレスと秘密鍵の元になるマスターシークレットです。パスフレーズを使わない場合は、代わりに空の文字列が使われます。
パスフレーズがこの計算の一部であるため、次のようになります。
- 1パスフレーズなし → ウォレットA(「標準」ウォレット)。
- 2パスフレーズ「blue river 7」 → ウォレットB。
- 3パスフレーズ「Blue river 7」 → ウォレットC。Bとはまったく無関係です。
どれも「無効」ではありません。ウォレットにはあなたがどれを意図したのか判断できないため、パスフレーズの入力ミスに対するエラーメッセージは表示されません。復元フレーズそのものについては、シードフレーズとはをご覧ください。
「25番目の単語」という呼び名が誤解を招く理由
このニックネームは、同じ単語リストから選んだ1語を追加するだけのように聞こえます。実際には、パスフレーズはどんなテキストでも構いません。長い文、数字、記号も使えます。デバイス上で入力できる長さや文字を制限しているウォレットもあるので、決める前に確認しましょう。
長く予測しにくいパスフレーズほど、推測されにくくなります。短くありふれた単語では、泥棒が復元フレーズを手に入れてありそうな候補を試した場合、保護はずっと弱くなります。
パスフレーズが防ぐもの
| 脅威 | 復元フレーズのみ | 復元フレーズ+パスフレーズ |
|---|---|---|
| 書き留めたシードのバックアップを誰かが見つける | 資金が危険 | パスフレーズが強力で別の場所に保管されていれば保護される |
| 強要(「ウォレットを渡せ」) | 資金が危険 | 少額を入れた標準ウォレットを見せることができる |
| 偽のウォレットアプリやフィッシングサイトが入力内容を盗む | 資金が危険 | 両方を入力してしまえば依然として危険 |
| 秘密を入力するパソコン上のマルウェア | 資金が危険 | 依然として危険 |
| パスフレーズを忘れる、または紛失する | 該当なし | 資金を永久に失う |
パスフレーズはバックアップを守るための防御です。偽のアプリやフィッシングサイト、「サポート担当者」に秘密を入力してしまった場合には守ってくれません。こうした脅威についてはシードフレーズ詐欺の記事で解説しています。
使うべきか?
次のような場合、パスフレーズは有効かもしれません。
- 失えば深刻な痛手となる額を保有している。
- 復元フレーズを他人がアクセスできる場所(共有の住まい、貸金庫など)に保管している。
- 2つの別々のバックアップを管理し、テストすることに抵抗がない。
次のような場合は、見合わないかもしれません。
- セルフカストディを始めたばかりで、バックアップの基本をまだ学んでいる。
- 安全で別々の保管場所を2か所思いつかない。
- 相続人が両方を見つけて使うのが難しい。暗号資産の相続対策をご覧ください。
パスフレーズを安全に設定する方法
- 1パスフレーズに対応したハードウェアウォレットを使い、可能な限りデバイス本体で入力します。基本はハードウェアウォレットの設定方法のガイドで解説しています。
- 2強力なパスフレーズを選びます。 1つの単語や日付よりも、ランダムな複数の単語や長く珍しいフレーズの方が効果的です。
- 3大文字やスペースも含めて正確に書き留めます。 紛らわしい恐れがあれば、スペースの位置を明記しましょう。
- 4パスフレーズウォレットの最初の受取アドレスを記録します。 後で復元したとき、このアドレスが一致すれば、パスフレーズを正しく入力したことを確認できます。
- 5多額を送る前に復元をテストします。 デバイスを初期化するか予備のデバイスを使い、シード+パスフレーズで復元して、最初のアドレスが一致することを確認しましょう。
- 6パスフレーズのバックアップは復元フレーズと別々に保管します。 別の場所、できれば泥棒が最初の場所と結び付けないような場所が理想です。
よくある間違い
- パスフレーズをシードフレーズの隣に保管する。 これでは保護の意味がなくなります。
- 記憶だけに頼る。 記憶は、特に年月が経つと薄れます。物理的なバックアップを残しましょう。
- 入力ミスとキーボード配列。 キーボード配列の異なるデバイスでパスフレーズを入力すると、文字が変わることがあります。実際に使うデバイスでテストしましょう。
- 資金を間違ったウォレットに置いたままにする。 パスフレーズウォレットにいるつもりで標準ウォレットに入金してしまう人もいます。毎回アドレスを確認しましょう。
- ウォレットが警告してくれると思い込む。 警告はしてくれません。復元後に残高がゼロなら、たいていはパスフレーズの不一致です。
おとりウォレット
標準ウォレット(パスフレーズなし)は引き続き存在するため、そこに少額をおとりとして置き、資金の大半はパスフレーズの奥に保管する人もいます。脅されたときには標準ウォレットを見せることができます。一定の保護にはなりますが、パスフレーズを知っている攻撃者はだまされないかもしれないので、これだけに頼らないでください。
まとめ
BIP39パスフレーズは、復元フレーズという単一障害点を2つの別々の秘密に変え、誰かにシードのバックアップを見つけられても資産を守ってくれます。その代償は責任です。入力ミスにエラーは出ず、忘れたパスフレーズは復元できません。使うなら、慎重に選び、正確に書き留め、参照用アドレスを記録し、復元をテストして、シードとは別の場所に保管しましょう。ウォレットのセキュリティに関するガイドはウォレットカテゴリーにもあります。
よくある質問
BIP39パスフレーズとは何ですか?
自分で選ぶ任意の追加の秘密で、12語または24語の復元フレーズと組み合わせてウォレットの鍵を生成します。パスフレーズが異なれば、まったく別のウォレットになります。「25番目の単語」と呼ばれますが、1つの単語に限らず、どんなテキストでも構いません。
パスフレーズを忘れたらどうなりますか?
パスフレーズで保護されたウォレット内の資金は失われます。ウォレットのメーカーを含め、誰も忘れたパスフレーズを復元できず、復元フレーズだけではパスフレーズなしのウォレットしか開けません。そのため、パスフレーズはシードフレーズと同じくらい慎重にバックアップし、かつ別々に保管する必要があります。
パスフレーズを入力したら残高がゼロと表示されるのはなぜですか?
多くの場合、ウォレット作成時とは異なる形でパスフレーズを入力したためです。パスフレーズは大文字と小文字を区別し、スペースや文字の一つひとつが意味を持ちます。少しでも違えば、エラーメッセージなしに別の空のウォレットが開きます。大文字小文字、スペース、キーボード配列を注意深く確認してください。
パスフレーズは必要ですか?
必ずしも必要ではありません。パスフレーズは復元フレーズを見つけた人から資産を守りますが、絶対に失ってはならない2つ目の秘密が増えます。多額の資産を持ち、バックアップの管理に慣れている人に向いています。多くの初心者にとっては、きちんと保管した復元フレーズだけの方が安全な選択です。
